牙龍 私を助けた不良 上




よく似たネックレス。


とてつもない殺気。


偶然、とは言いにくい。凜華と緋龍が同一人物である可能性は限り無く大きくなる。


全員が同じことを考えているのか、誰も口を開こうとしない。


凜華=緋龍である可能性は高いが、確かめる方法は何処にある?


そう思って手を握る。すると、暁が口を開いた。



「凜華ちゃん本人に聞くのは駄目や」


「・・・そうですね。緋龍は三年前から『行方不明』と言われてますから」



神妙な顔付きの二人。


こっちの世界の誰もが憧れて、その背中を追いかけていた。その『強さ』に惹かれて。


だからこそ、緋龍が姿を消したことは大きな騒ぎだった。



「行方不明、か」



緋龍は一匹狼で、仲間をたった一人すら持っていなかった。


それは孤高でいて、何処か寂しげな事実だった。






< 146 / 476 >

この作品をシェア

pagetop