牙龍 私を助けた不良 上
よく似たネックレス。
とてつもない殺気。
偶然、とは言いにくい。凜華と緋龍が同一人物である可能性は限り無く大きくなる。
全員が同じことを考えているのか、誰も口を開こうとしない。
凜華=緋龍である可能性は高いが、確かめる方法は何処にある?
そう思って手を握る。すると、暁が口を開いた。
「凜華ちゃん本人に聞くのは駄目や」
「・・・そうですね。緋龍は三年前から『行方不明』と言われてますから」
神妙な顔付きの二人。
こっちの世界の誰もが憧れて、その背中を追いかけていた。その『強さ』に惹かれて。
だからこそ、緋龍が姿を消したことは大きな騒ぎだった。
「行方不明、か」
緋龍は一匹狼で、仲間をたった一人すら持っていなかった。
それは孤高でいて、何処か寂しげな事実だった。