牙龍 私を助けた不良 上





それを見てから、俺は言った。



「凜華にはまだ言うな」



もしもそれが事実だとしても、今の凜華には言うべきじゃない。


死んだような目をした奴は、過去に何か闇を背負ってる。だから、その闇を大きくするようなことはしたくない。


何より、凜華に悲しい顔をさせたくない。


俺の言った言葉に全員が頷いたので、立ち上がる。続いて双子が立ち上がる。



「じゃあ、ボク達は部屋に戻るよ」


「また、明日ね〜」



明るい声に、重い空気が軽くなった気がする。小さく息を吐いて、俺も部屋から出た。






< 148 / 476 >

この作品をシェア

pagetop