牙龍 私を助けた不良 上
それを見てから、俺は言った。
「凜華にはまだ言うな」
もしもそれが事実だとしても、今の凜華には言うべきじゃない。
死んだような目をした奴は、過去に何か闇を背負ってる。だから、その闇を大きくするようなことはしたくない。
何より、凜華に悲しい顔をさせたくない。
俺の言った言葉に全員が頷いたので、立ち上がる。続いて双子が立ち上がる。
「じゃあ、ボク達は部屋に戻るよ」
「また、明日ね〜」
明るい声に、重い空気が軽くなった気がする。小さく息を吐いて、俺も部屋から出た。