牙龍 私を助けた不良 上
部屋に戻るため廊下を歩きながら思う。
凜華と緋龍。同一人物なら聞きたいことが沢山ある。ずっと、言いたかったことがある。あの日、言えなかったことを。
そんなことを考えながら歩いていたからか、すぐ部屋に着いた。
カードキーでロックを解除して扉を開けながら、もう寝ただろうかと中に入った。
部屋は薄暗くて、寝てるのかと思いながらベッドのある方に行くと、
「・・・・っ・・」
「・・・・!!」
涙を流しながら苦痛に顔を歪ませ、押し殺した声で呻いている凜華が視界に写った。
右手で、これでもかというくらい強く服の胸元を握っていた。
その光景に驚いたが、足は彼女に向かって動いていた。側まで行って、名前を呼んだ。