牙龍 私を助けた不良 上
何か、どっちの意見も半分私欲のためだな。文化祭っていうのは、そういうものなのか?
ヘッドフォンから流れてくる陽気な曲を聞きながら、そう疑問に思っていた。
すると、
「緋姫さん、あなたは何がいい?」
「え?」
いつの間にか委員長が側に立っていて、私にそう聞いてきた。
・・・この私が、気付かなかった?
彼女が近付いて来たことに気が付かなかった。驚きながら、委員長を見る。
黒のショートヘアー、淡い桜色縁のおしゃれなメガネを掛けていて、制服は・・・中にパーカー着てるくらい。真面目な雰囲気。
偶然、だろう。普通の人と不良が醸し出す雰囲気が違うから、気が付かなかっただけだ。