牙龍 私を助けた不良 上




そう自分に言い聞かせながら、少し乾いてしまった口を開く。



「メイド以外なら」


「そっか。苦手そうだもんね?」



委員長はにぱっと笑ってそう言った。お堅く見えたけど、全然そんなことない。可愛い子だ。


委員長は睨みあっているクラスメートを見ながら、私に話し掛ける。



「そう言えば、自己紹介してないね」


「あぁ」



転校、と言う形でここに来たし。クラスメートの名前、ほとんど知らない。


知ってるのは木藤達と、牙龍の倉庫で顔を見たことある人の中の数人。うろ覚えだけど。



「あたしは、一ノ宮朱里(イチノミヤシュリ)って言うの。よろしくね、緋姫さん」



よろしくね、と言われた。何か、くすぐったい感じがする。


私は友達というものを作るのが苦手。だから、こういうのは正直憧れてた。


一人で居たい。


そう思うようになってたけど、作っちゃダメだと思ってたけど・・・一人くらいなら、いいかな?





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