牙龍 私を助けた不良 上
「よ、よろしく・・・」
うっ、恥ずかしい。よく分かんないけど、恥ずかしいぞ。
どもりながら言った私に、委員長・・・一ノ宮さんはまた、にぱっと笑った。
「うんっ」
「名前は呼び捨てでいい、けど・・・」
「じゃあ、凜華って呼ぶね?あたしも朱里って呼んでね」
「しゅ、朱里・・・」
「何で照れるの?」
朱里と呼ぶのにもどもりながら言ったからか、朱里はおかしそうに笑う。
女の子、桃華以外で呼び捨てしたのは朱里が初めてだからか、嬉しい。
友達、言いかもしれない。
夏の日差しと涼しい風を受けながら、そんなことを思った。