牙龍 私を助けた不良 上
side:暁
暑いなか、冷たいペットボトルを五人分持って戻るのは面倒や。
ついてきた志貴は、パソコン片手に涼しい顔をして横を歩いとる。
俺、何で一人でペットボトルを持たなきゃならんのやろうか。不平等や、フェアやない。
「なぁ、志貴」
「はい、何ですか?」
「半分、持ってくれへんか?」
「あはは、嫌ですよ」
「・・・・・」
ブラックオーラ満載で笑うコイツに、こめかみがピクピクする。
仕方ないと溜め息を吐いて、漸く辿り着いた屋上のドアを開けた。
オフグリーンの爽やかそうな髪を揺らしながら、陸斗と海斗が近寄ってきた。