牙龍 私を助けた不良 上
木陰、風吹いて
わいわい、ガヤガヤ。
賑やかな声があちこちから聞こえる。早いことにもう二学期に入った。
文化祭に向けて、一ヶ月近くあるのにもう準備が始まっていて、先生達も駆り出されている。
睨み合いの末、二年S組はコスプレ喫茶になった。メイド、執事とかになってやるやつみたい。
だから、だから、私はここを走っているわけで。逃亡中なわけで。
それにしても、
「絶対に捕まえろっ!!」
「逃げんなーー!!!」
「足早いっ!!ちょっ、挟み撃ちよっ!!」
「逃がすなっ!!!」