牙龍 私を助けた不良 上
恐るべし、だな。
屋上に続く扉へ辿り着き、何となくヘッドラインを弄りながらそれを開けて、屋上に出た。
まだ、日差しが強い。
屋上には、いつものメンバーが居なくて、木藤だけが居た。フェンスに寄り掛かって寝ている。
『ミィー♪』
ミライはそんな彼を見るなり、タタタタッと走り寄って行った。
ミライが短い足で、ペシペシと膝の辺りを叩くと、木藤がパチッと目を覚ました。
『ミー、ミー』
「ミライか」
『ミィ〜♪』
頭を撫でられて、喉を鳴らした。人見知りなあの子が、私以外になついたのは初めてだったな。
静かに近付いていけば、気配に気付いたらしい木藤が、こっちを見た。
青い瞳が、私を捉える。