牙龍 私を助けた不良 上
視線が合わさった瞬間、胸が高鳴った。ドクンッと、耳元でそんな音が聞こえてた。
そんな私を見て、木藤は小さな笑みを浮かべた。顔が赤くなった気がする。
「凜華」
「・・・ん」
来いよ、と言いたげな視線に小さくそう返してから、木藤の横にゆっくりと座った。
距離は10センチ、手を伸ばせば触れられるくらいに近い。木藤のいる、右側が何だか熱い。
「廊下、走ってたな」
「な、何で知って・・・」
「見えた」
いつの間にやら眠ったミライを膝に乗せ、木藤はそう言った。どうやら、見られていたらしい。
屋上からよく見えたなと感心するが、何か複雑。てか、コイツは寝てたんじゃなかったのか。