牙龍 私を助けた不良 上
何で知ってるんだと顔を見れば、思い出してるのか少し口角が上がっていた。思い出し笑いか。
何がおかしかったのか知らないけど、木藤は笑ってる。
会った時に笑ったの見たけど、コイツは基本的に笑わない。ニ、三ヶ月くらいしか経たないけど、それは分かった。
無表情というか、感情のない顔をしてることもあるし、疲れないのか疑問だ。
「・・・いいのに」
「ん?」
思い浮かんだことを、ついボソッと呟いたのが聞こえたらしく、木藤が聞き返してきた。
迷ったけど、今度はハッキリと目を見ながら言ってみた。
「笑えばいいのに」
「・・・俺が?」
「木藤の笑った顔は、綺麗だ」
そう言うと、木藤はビックリしたような顔をしてからフッと笑うと、頭を撫でて来た。