牙龍 私を助けた不良 上
ムッとしながらそう返してくる凜華、やっぱり天然だ。まぁ、そこが──
「そこが可愛いとこだけどな」
「な、かっかわ・・・!?」
ボンッとリンゴみたいに顔が真っ赤になる凜華。どうやら免疫がなかったらしく、動揺している。
百面相だな、コイツは見てて飽きねぇわ。
おかしくて、また思わず笑うと凜華は両頬を押さえた。耳まで真っ赤だし。
静かに近付いて、額にそっと口付けると凜華はバッと顔を上げた。
「き、木藤っ」
「顔真っ赤」
焦って珍しく声を荒らげた凜華に、からかうようにそう言えば、
「笑うなっ、・・・バカ」
照れたように言われて、ドキッとする。ネコより気まぐれな天然小悪魔か、こいつは。
そんなバカみたいなやり取りをしながら、穏やかな日差しと風を浴びていた。