牙龍 私を助けた不良 上
side:凜華
さんざん木藤にからかわれて、私は不機嫌になっていた。いじけた子供みたいに、口が尖っている気がする。
可愛いとか言うし、顔真っ赤とか言うし・・・。挙げ句の果てにいきなり額にキッ、キス、されたし。
・・・何だか、信じられないな。
木藤といると、平常心では居られなくなってしょうがない。ドキドキする。
まるで、アイツと居るような気がして──酷く懐かしい。木藤が纏う香りは、アイツと同じ。
守られているという、絶対的な安心感を与える優しくて──甘い香り。