牙龍 私を助けた不良 上
むくれていた私は、ミライを連れて図書室へと来ていた。只今お昼中。
来る途中にあるコンビニで買ってきたお弁当を食べながら、ミライに煮干しをあげていた。
パリパリパリ、ムシャムシャムシャ。ミライが煮干しを食べる音が室内に響き渡る。小さな身体の何処に、こんなに沢山入るんだろうか。
「ミライ、おいしい?」
『ミッ』
「そっか、よかった」
食べ続けるミライを見ながら、ふわぁと口から漏れた欠伸を手で押さえる。
空のお弁当箱を片付けて、柔らかいソファーにごろんと転ぶ。太陽の光を吸い込んだソファーは、ふかふかで気持ちが良い。
ここは、滅多に人が訪れないからのんびりしていられる。気を張る必要が無いから、疲れない。
『ミィー?』
「んー、眠たいんだ」
『ミー、ミー』
「うん、だから寝かせて」
ソファーで仰向けになってヘッドフォンを外すと、身体を小さくして目を閉じる。
ミライが刷り寄ってくるのを感じながら、眠気に襲われるままに意識を手離した。