牙龍 私を助けた不良 上
どれくらい寝たのだろうか。回りがざわざわと煩くて目が覚めた。
ボヤける視界に、人影が沢山あって見られている気がするから、目を擦ればはっきりする視界。
そこには、見覚えのある面々─クラスメートの女子が顔を真っ赤にしながらこっちを見ていた。
何なんだと立ち上がろうとすると、ギッと変な音がして立ち上がれなくてまた座ってしまった。
・・・何で?
私はゆっくりと足元に視線をやった。
「なんだこれ」
「「「「「男装似合ってる──!!」」」」」
何故か、キャーキャー言い出す女達に耳を塞ぎたくなる。そこで、はたと気付く。
・・・何で、スーツ着てるんだ?
制服を着ていた筈なのに、何故かスーツを着ていた。しかも、ホストとかが着てそうなちょっと洒落たやつ。