牙龍 私を助けた不良 上
「ひゃっ!?」
いきなりヒョイッと肩に担がれた。ビックリしたままその人物を見てみると、銀色の光が目に入った。
司会の高さと言い、銀色の髪といい・・・。間違いない、コイツは──
「・・・木藤」
「何だ」
「降ろして。逃げるから」
「・・・バカだな、お前」
ククッと可笑しそうに笑う木藤の肩に担がれている私は、何だか情けない。
情けないからと言う理由で、木藤の背中をペシペシと叩いてみる。
「痛くねぇよ」
それどころかクスクスと忍び笑いも聞こえてきて、あまりにも自分が子供に見えてくる。
・・・くっそー、覚えてろ。
教室に連れて行かれながら、心の中でそう思った。