牙龍 私を助けた不良 上
骸骨、十字架、蝋燭、コウモリ・・・等々のレプリカが、いかにもな雰囲気を醸し出す。
世間でいうと、『お化け屋敷』というものに違いないだろうそれは、あまりにも本格的だ。
・・・文化祭なのに。
レベルが高いと感心していたが、不良高校生は行事が好きなのかと思った。
提案者と言えば、
「文化祭ゆうたら、お化け屋敷が目玉やろ?」
それは人それぞれだぞ、暁。
半ば、強制的に嫌がる勇人を引っ張るようにしながら、ここに引って来た。因みに、引っ張って来たのは、麻美さんだ。
「勇人?お姉ちゃんの言うこと、聞けるわよね?」
彼氏が志貴だけに、黒さ全開の笑みは脅しでしかなかった。私も若干怖かった、あれは。