牙龍 私を助けた不良 上
「では、次の方々どうぞ」
案内役のドラキュラから、にこやか(?)に笑いかけられて、麻美さんは笑い返していた。
そんな彼女の隣にいた人物が、振り向いて、後ろに立っていた私を見た。
水色の瞳に、私が写る。
「一人で大丈夫か」
「当たり前だ」
「・・・そうか」
「そうだ」
「・・・・・・」
何を言うかと思えば。
心配されるほど、ひ弱に見えるのか。木藤を見上げながらそう思う。
すると、
「もし、怖くなったら、俺を呼べ」
「・・・・!」
木藤はそう言って、固まる私を見て小さく笑いながら、麻美さんと一緒に入って行った。