牙龍 私を助けた不良 上
「ひえぇぇ・・・!!」
「もう、イヤァアアァー!!!」
「こっち来んなよぉ!?!?」
「ふぇーん、ママぁ!!」
「気持ち悪ぃーー!!」
絶え間なく、絶叫やら泣き声やらが聞こえてくる。男女問わずだ。それに思わず苦笑する。
・・・悪く、ないかも。
こうやって、子供みたいにはしゃぐように誰かと何かをすることは、少し前の私は煩わしいとしか思ってなかった。
そう思った時だった。
とてつもない殺気を感じて、私はバッと後ろを振り向いた。だけど、誰もいない。
胸の奥で、狂ったように何かが鳴り始める。けたましい、
「──みーつけた」
警告のように。
首後ろに強烈な打撃を受けて、視界が急速に霞み、カシャンと乾いた音が響いて、閉じた。
床の冷たい感触が、全身を包んだ。