牙龍 私を助けた不良 上
慟哭、龍の咆哮
side:龍騎
「どうやった、龍騎?」
「別に」
「お、俺も別に、怖くなかったし!?」
「「震えが隠せてないよ」」
お化け屋敷から出ると、騒がしい仲間が出迎えてくれた。
中々クオリティの高い作りで、絶え間なく、絶叫やら泣き声やらが聞こえていたのは言うまでもない。
「凜華ちゃん、大丈夫かしら」
隣では、頬に手を添えながら後ろを振り返る麻美さんがいる。
「怖がるところ」
「見てみたいよね」
なんてことを、呑気に言っているのは毎度ながら双子だ。よく飽きないな、とは思う。