牙龍 私を助けた不良 上
凜華に似ている方は、黒と銀の調和された──黒銀と言えばいいのか、不思議な色の長髪。
もう一人の、無口そうなやつは、青みがかかったような黒の長髪。
二人とも瞳は漆黒で、かなりの美人だ。だが、何故か危険な感じがして、目が離せなかった。
「それよりさ、これどうしよう」
「・・・・・」
「・・・持ち主、探してるかな」
「・・・知らない」
「相変わらず、他人に興味ないね」
黒銀の髪の女が、手にしているそれが気になり、視線を落とした──瞬間、俺は、そいつの肩を掴んでいた。
「──それ、何処で拾った?」
女は、俺の声に後ろを振り返って、見上げてきた。漆黒の目が、真っ直ぐに視線を向けてくる。
「あ、牙龍の総長だ」
思い出した、と言わんばかりに指で俺を指しながらそう言った。