牙龍 私を助けた不良 上



凜華に似ている方は、黒と銀の調和された──黒銀と言えばいいのか、不思議な色の長髪。


もう一人の、無口そうなやつは、青みがかかったような黒の長髪。


二人とも瞳は漆黒で、かなりの美人だ。だが、何故か危険な感じがして、目が離せなかった。



「それよりさ、これどうしよう」


「・・・・・」


「・・・持ち主、探してるかな」


「・・・知らない」


「相変わらず、他人に興味ないね」



黒銀の髪の女が、手にしているそれが気になり、視線を落とした──瞬間、俺は、そいつの肩を掴んでいた。



「──それ、何処で拾った?」



女は、俺の声に後ろを振り返って、見上げてきた。漆黒の目が、真っ直ぐに視線を向けてくる。



「あ、牙龍の総長だ」



思い出した、と言わんばかりに指で俺を指しながらそう言った。




< 253 / 476 >

この作品をシェア

pagetop