牙龍 私を助けた不良 上
「ねぇ、肩痛いんだけど」
ことも無さげに、俺のことを牙龍の総長だと言ったうえに、そう言って肩を掴んでいた手を退かした。
小さい手は冷たくて、退かされた手が、冷たさにかすかに反応する。
・・・何だ?
思わず硬直した俺の隣にいた暁が、人懐こい笑みを浮かべて、その二人に話し掛けた。
「驚かしてすまんな」
「・・・・別に」
「私に何か用でも?」
「君が持っとるヤツなんやけどな、知り合いのにソックリなんや」
何処で拾ったか教えてくれへんかな、と暁は黒銀の髪の女に言った。
すると、彼女は
「この中だよ」
と、言いながらに、先程出て来たお化け屋敷を指差した。