牙龍 私を助けた不良 上



予想外に痛いし難しい。でも、ここに居たらいけない気がして焦りを感じる。


あの頃何度も感じていた、緊迫感。


その中で、何とかロープを外すことが出来た。身体を起こして、足の拘束も外す。不用心に思いながら、真っ赤になっている手首を擦った。


・・・ちょっと内出血してる。


忌々しく思いながらソファーから降りた時だった。部屋のドアが、ギイッと錆び付いた気味悪い音を立てて開いた。



「お目覚めかい、牙龍の寵姫」



聞き覚えのある声に、ゾッとした。






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