牙龍 私を助けた不良 上
私のせいなの。
私が死ねば良かったの。
私は、人殺し。
そんなこと──。
ピシッ・・イッ・・・
言われなくても、分かってる。
意識が急速に遠退いていく。あの時と、同じ感覚であることは分かっていたけど、抗おうとは思わなかった。
──オカエリ。
私の中の狂気──もう一人の私が、私をゆっくりと微笑みながら抱き締める。
『──凜華』
ごめんね───。
やっぱり、私は弱いままだ。強くも無くて、強くもなれない、ただの人間なんだよ。
パリィ・・ィイ・・・ンッ・・・
全てがクダケチル音がした。
理由なんてない。ただ、本能的に。
意識が真っ黒に染まる前に、最後に、あの人の名前を呼んでいた。