牙龍 私を助けた不良 上
・・・凜華は、何処にいる?
敵の様子を見ながら、探ってみるが、何も分からないままだ。
居るとしても、どちらにせよ倉庫の奥だ。幹部室か、ただの部屋かは分からねぇけど。
「・・・くそっ」
そう溢して、苛立ちに似た焦りを近くにいた敵にぶつけようと、そいつの胸ぐらを掴んだ時だった。
───ガシャ・・ンッッ・・・!!!!
倉庫の奥から、ガラスが割れたような音が甲高く聞こえてきた。
──ドクンッ・・・。
嫌な予感がして、心臓の音がやけにリアルに聞こえてくる。
その場にいた奴の中には、一体何事だと動きを止める者もいた。倉庫の中、緊張が高まる。