牙龍 私を助けた不良 上
そして。
凄まじい殺気が、倉庫の奥から突き刺さるように飛んできて、肌がビリビリした。
・・・あの時と同じ?
凜華が、校舎裏に呼び出されて放った、気絶するような殺気と同じ。
そう考えていると、遠くでバタリと倒れる音がした。それを境に、敵味方関係なく次々に倒れていく。
腰を抜かしたり、ガタガタ震えている奴もいる。
隣にいる祐希から、ゴクリと息を飲んだ雰囲気が伝わってきた。
「龍騎、間違いないで」
「「凜華ちゃんだよ」」
「行ってください」
いつの間にか側にやって来ていた、暁、陸斗、海斗、それから祐希がそう言った。
俺は全員の顔を見て頷くと、音が聞こえたところに向かって、走り出した。