牙龍 私を助けた不良 上
そして、
「ハハハハハッ!!」
いきなり声高らかに笑いだした。嘲るように、目を片手で覆い隠して。
必然的に、凜華を抱き締める腕に力がこもる。凜華は、震え怯えたまま腕の中にいる。
「何がおかしい」
「コイツはなぁ、善人じゃねぇんだよ!!」
「善人・・・?」
男がのろのろと起き上がり、凜華がハッとしたように腕の中で暴れ出す。
「やめろ、言うなっ!!」
「コイツはなぁ」
「やめろ・・・っ!!!!」
「『人殺し』なんだよ」