牙龍 私を助けた不良 上
「いやぁぁあ──!!!!」
「っ・・・!?」
「・・ぃゃ、・・ひなたっ・・・」
「凜華!?」
「・・・っ、ひな、た・・・」
何が見えているのか、誰が見えているのか、何を思っているのか。
虚ろに、脅えるように『ひなた』と、繰り返す凜華が消えていきそうで、俺は凜華の名前を呼ぶ。
「凜華っ!!」
「・・・はっ、はぁ・・」
凜華は弱々しく顔を上げて、俺を視界に捉えると、全てを拒絶するように、すぅっと目を閉じた。
驚いたが、どうやら気を失ったらしい。ぐったりとしている姿に、腕に力が入った。