牙龍 私を助けた不良 上
喪失、日溜まり
side:龍騎
あの日からニ週間が経ち、冬が近付いて寒くなった朝、いつものように、俺は凜華に会いに来ていた。
相変わらず眠っている凜華は、すぐにでも目を覚ましそうなくらい穏やかな寝顔だった。
殺風景だった部屋には、麻美さんが持ってきた人形が置かれていた。
文化祭の日に起こったあの事件は、一般人に知られることなく落着した。理事長の配慮だ。
暴牙は解散し、総長は捕まったらしい。