牙龍 私を助けた不良 上
* * * * *
震える膝を抱えていた。
選択は、いつだって選択は二つしかなかった。
闇に屈するか、それとも灰色の光のままでいるかしか無かった。
憎しみの中で、憎しみに飲まれない人間なんていない。私は、憎しみで生かされてきた。
アイツを憎んで、憎んで、憎んで、憎んで、憎んで、憎んで、憎んで、憎んで、憎んで。
アイツをぐしゃぐしゃにして、バラバラにして、塵にしてやりたかった。
彼を返して欲しかった。
私は彼だけだったから。
だけど、私には出来なかった。アイツに、復讐することが、出来なかった。
狂い咲いて墜ちる桜のように、私は、そのまま大地にひれ伏した。