牙龍 私を助けた不良 上
11月初日、早くも霜が降った日の朝、凜華は目を覚ました。
「あなたは、誰・・・?」
だけど、目を覚ました凜華は、俺にそう言った。絶望した、なんていうのはこの感情のことだと思う。
数十分前──・・・。
俺がいつものように、病室に居た時だった。閉められていたカーテン開けていると、小さな呻き声が聞こえた。
慌てて振り返って凜華の顔を見ると、瞼が震えながら開かれて、俺を捉えた。
すぐにナースコールを押すと、医者と看護士が慌ててやって来て、凜華に色々質問していた。
・・・よかった。
凜華が目を覚ましたことに安堵して、胸を撫で下ろした。
それなのに。