牙龍 私を助けた不良 上
side:龍騎
『来ぃへんのか?』
「・・・・・」
『はぁ・・・。まぁ、無理に来いとは言わへんけどな』
「──分かってる」
『会ってやってや。何か、思い出す切っ掛けになるかも知れんやろ』
「・・・・・」
『・・・明日は、ちゃんと来いや?待っとるから』
乾いた明るい声は、どこかで遠くで響いていた。
青い空が近い場所で、所々が錆び付いたフェンスに寄り掛かる。
何もかも、空みたいに一色に塗り潰せたなら、楽になれるのか。