牙龍 私を助けた不良 上



記憶は、おそらく戻る。


だが、それまでどうする?どうやって、凜華に接すればいいんだ。


俺と凜華の接点は、他の族から凜華を守るという不安定な約束だけだった。


俺にとって──大切な仲間の一人で、大切な女(ヒト)で、誰よりも守りたいと思った。


フェンスにさらに凭れると、それはキシッと軋み音を上げた。


・・・凜華のほうが、辛いはずなのにな。


凜華が目覚めるまでに、多くのことを仲間達が調べてくれた。


もちろん、凜華のことの中でも過去のことを──緋龍がこの町に現れて、居なくなってしまうまでのことを重点的に。




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