牙龍 私を助けた不良 上
「リュウキ?」
「字は、龍に、騎士の騎って書くんだ。それで、龍騎って読む」
リュウキ、龍騎、木藤龍騎。
・・・何処かで。
なんとなく聞いたことがあるような気がしたけど、全然思いつかない。カッコいい名前だなと思った。龍の騎士、だもんね。
「なんで、龍騎・・・さん?は来ないの」
「それは・・・」
「あの日、この病室に居たってことは私の知り合いのはず。・・・なのに、あれから1回もここに来てない」
どうして、なんだろう。
仲がいい人なら、1回くらいはお見舞いとかに来るだろうし・・・。仲が悪い人なら、私が目を覚ましたときに、あんな顔はしないだろう。
あんな、嬉しそうな顔が出来るわけない。
「・・・龍騎は、忙しくて来れないんだ」
「・・・・・」
「龍騎、牙龍の総長なんだ」
「牙龍・・・」
「あ・・・っと、とにかく最近忙しいから」
勇人はそう言うと、暁に連絡してくると言ってケータイを持って病室を出て行った。静かになった部屋は、なんだか寂しく感じた。