牙龍 私を助けた不良 上



* * * * *


「本当に良かった」


「また言ってるねぇ」



黒髪の青年が笑うと、赤色の髪の女性もまた笑った。

二人の視線は、目の前の赤茶色の長髪の少女に向けられていた。



「うん・・・」



女性に似た面影を持つ彼女は、小さく控え目に頷いた。細い腕には、点滴が繋がれている。


その身体は、真っ白で清潔そうなベッドに力なく座っていた。




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