牙龍 私を助けた不良 上



長い間、眠っていた少女は体力が落ちていて、起きているのもやっとなのだろう。表情は、浮かない。


どこか、遠くを見ているような瞳は、寂しげで今にも壊れてしまいそうだ。


──まるで繊細なガラス細工のように、何かの弾みで割れてしまうように。



「・・・桃華?」



ふと、笑っていた青年が彼女の様子に気付いて名前を呼ぶが、彼女は反応しない。


女性も気付いたようで、彼女は難しそうな顔をして言った。



「・・・桃華、仕方ないのよ」


「・・・・・うん」


「今は、自分のことに専念しなさい」




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