牙龍 私を助けた不良 上



木藤龍騎──彼は何も言わず、ただ目を少し細めて私を見ている。


二人だけの病室は、静かだ。


聞きたいことは色々あるし、話をしたいし、教えてほしいこともあるのに。


布団をくしゃりと握った手を、見つめる。私は、小さく呼吸をして、口を開いた。



「・・・あの、・・」


「身体は、大丈夫か」



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