牙龍 私を助けた不良 上
・・・声、低い。
予想よりも低い声で、ただ静かに私に問い掛けてきた。
「大丈夫、だ」
「・・・ならいい」
会話とも言えないくらい、短い会話は、すぐに沈黙を呼んだ。
──かのように思えた、がしかし。
「会いに来なくて悪かった」
「・・・、へ?」
「お前に──凜華に、あんま会いに来れなかった」
「あ、勇人が、忙しいから会いに来れないんだって・・・」
「・・・まぁ、忙しかったと言えば、忙しかった、な」