牙龍 私を助けた不良 上



「──俺は、荒れていた」



それは、思い出しながら語るような話し方だった。




「苛ついてたのか、苦しかったのか。・・・今でも、よく分からない」



ただ、ひたすら喧嘩ばっかり売って。何やってんだよって思うくらい。ただ、虚しさと、やるせなさだけがどんどん増えていくだけで、喧嘩やっても気持ちは全然晴れたりしなかった。



「当時総長だった先代にも、散々迷惑掛けて、謝っても謝りきれねぇ」



媚を売ってくる女、機嫌ばっか伺ってくる男。どいつもこいつも、外見ばっかり。



「だから中身を認めて欲しくて、力に頼ったのかもしれねぇ」




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