牙龍 私を助けた不良 上
あっさり交わされて、ダサいくらい簡単にやり返された。しかも、重い拳で。
耐えきれなかった俺は、そのまま座り込むように地面に崩れ落ちた。
「女は、何で戦ってるのか聞いてきた。そんなもんねぇのに」
女は何を思ったか、俺の血だらけの手に白いタオルを巻き付けた。すぐに血が染み込んで赤くなる。
「『お前は強くなれる』」
大切な物を見つけて、それを守れる奴になれ。力だけが強さじゃない。
力が弱くても、大切な物を守ろうとする心を持ってる奴の方が本当に『強い奴だ』と。
女は、俺にそう言った。