牙龍 私を助けた不良 上
side:凜華
「銀、龍・・・?」
私は思わず、そう言っていた。
聞き覚えのあるその言葉は、あの日の、銀髪の少年に向けて言った言葉。
睨み付けてくる少年の強い意志の宿る瞳に、強くなれると感じた。
だからこそ、私が教えたこと。
『大切な物を見つけて、それを守れる奴になれ。力だけが強さじゃない』
『力が弱くても、大切な物を守ろうとする心を持ってる奴の方が本当に『強い奴だ』』
私は驚きながら、彼にゆっくりと問い掛ける。
「あの日、の・・・?」
彼は、静かに頷く。
あの日と変わらない、強い意志の宿る瞳は、綺麗な水色──否、深みを帯びた青色。