牙龍 私を助けた不良 上



聞いてもいいか少し迷ったけれど、聞かないと気になると思ったので、聞くことにした。



「何で、日本にいるんだ」


「・・・いや、あの、うん」


「・・・(コイツ、逃げてきたな)」



ニコニコしていた顔はそのままに、冷や汗をかいたようにしどろもどろになる男。


呆れたように溜め息を吐けば、木藤は何を思ったのか私にちらりと視線を送ってきた。


何でもない、と木藤に視線を送ると、私はもう一度口を開いた。



「まさか、無断で日本に来たのか──兄さん」




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