牙龍 私を助けた不良 上



「兄さん?」


「あぁ、言ってなかったっけ。この人は、私の兄で咲哉(サクヤ)という」


「・・・そうか」



なるほど、といった感じで兄さんを見る木藤。物珍しげな表情に、またしても兄さんはたじろぐ。


ブランドもののスーツを着ていることから察するに、仕事は真面目にしていたらしい。



「それで、理由は?」


「・・・玲矢から聞いたんだよ」



──凜華が入院してるって。兄さんはそう言いながら、側にあった無人の椅子に座り込んだ。


だが、私はそれを気にしている余裕は無かった。だって、おかしいから。


・・・何故、知っている。


私が学校を休んでいたとしても、あの帝牙高校だぞ?いちいちその理由を、調べる必要はないはずだ。




< 363 / 476 >

この作品をシェア

pagetop