牙龍 私を助けた不良 上
すると木藤は意外そうな顔をしたかと思うと、ふっと青い目を細めて頬をふわりと緩めた。
笑った───。
「────・・・」
あまりにも綺麗に微笑んでいたから、私は言葉を失って木藤の笑みをただ静かに見つめていた。
木藤はそんな私を見ると、大きな手で不器用に頭をくしゃりと撫でてきた。
子供扱いされてるような気がしたけど、頭を撫でられるのが何だか気持ちいいような、くすぐったいような気持ちになった。
何となく・・・分かった気がした。
牙龍がいい族だって言われるのは・・・こんなふうに、不器用でも優しい木藤が総長だからだろうな。