牙龍 私を助けた不良 上
いつもより、熱い。
どれくらい、雨の中にいたんだろうか。風邪を引いてしまったのか、熱があるのは確かだ。
何処にも行かないように、閉じ込めていれば、彼女がこういう思いをしなくていいのか。
「・・・帰りたぃ」
「うん、すぐ迎えがくるから」
「・・・ごめんね」
望夢は小さな声で謝った。自分でも、何をやっているのか分からないし、何がしたいのか分からない。
ただ、ふらりとここへやって来たのだ。彼女と最後に、出会った場所に。
ここなら分かるような気がするからか、自分の罪を清算したいからか。
瑠矢の腕に抱かれながら、望夢はそっと目を閉じて雨の音に聞き入った。