牙龍 私を助けた不良 上
王者、騎士の姫
side:凜華
「遅くなる?」
『・・・あぁ』
危うくケータイを落とし掛けたが、なんとかキープ。理由を聞こうと口を開いた。
──ら、先に向こうから声が返ってきた。
『会わないといけない奴等がいる。だから、そっちに着くのが遅くなると思う』
電話の相手は木藤。丁度、朝のリハビリから返ってきた所だった。
でも、会えるのが遅くなると聞いて何だか気分が曇った。
・・・仕方ない、ことだ。
そう言い聞かせるように、分かったと明るい声で返すと、木藤はもう一度謝ってから電話を切った。
なんだかむなしかった。