牙龍 私を助けた不良 上
兆し、高らかに
聴きたくない世界の音を遮断する、ヘッドフォンから聞こえてくる音楽。
軽快で、綺麗な音楽。
心にぽっかりと空いた空間を、疼く身体の痛みを、満たして遮るようにいつも聞いている。
私、緋姫凜華は県内では一番有名な帝牙(テイガ)高校という不良校に通う事になった高校二年生。
授業はテスト前以外は滅多にない。不良が怖いみたいで先生達は何も言えない。そんなんで、よく教師が出来るね。
そう思うのは私だけかな?
普通の女子高生なら、青春ってのを楽しんでるんだろうけど。生憎、私は普通じゃない。
化粧してないし、彼氏作んないし、高校生らしくないんだよね。