牙龍 私を助けた不良 上
side:龍騎
どうやらknightのトップは手が離せないらしく、メンバーっぽい女が俺を店内へと招き入れた。
ちらほらと客がいたが、特にどうってことはなかった。
店内は落ち着いた雰囲気のカフェで、なるほど有名になるわけだと思うくらいだった。
「銀龍さんは、ここで待っててね」
カウンターまで俺を連れてきた女は、俺をそこに座らせると、近くにいた店員に何か話し掛けると、店の奥に消えた。
「いらっしゃいませ」
店員はそう言うとカウンターに立ち、カタカタと何やら作業をすると、目の前にカップを置いた。
中には温かそうなコーヒーが入っていた。オーダーしていないのに、と店員をみると、
「彼女からの奢りだそうです」
「奢り・・・?」
「はい。彼女、ここの御得意様なので」
「・・・・・」