牙龍 私を助けた不良 上
「用件は承知してます」
店員の男は、黒髪を揺らしながらそう言った。
穏やかな笑みを浮かべた表情からは、何を考えてるかは分からない。
「あの女が言ったのか?」
「──僕もknightですから。これでもね」
「・・・・・!」
咄嗟に警戒してしまう。
knightのメンバー。穏やかな笑みを浮かべたままの男に、じっと視線をやる。
何も感じられない。
とてもじゃないが、ケンカをするような──あんな噂をされるような集団の一人だとは思えない。
かつて、今の裏町より荒れていた表町を統制するために、多くの人間を蹴散らしてきたknightには。