牙龍 私を助けた不良 上
人は見掛けに寄らないもんですねぇ、と男は染々と言った。まるで他人事みたいだ。
「僕なんかより、三代目の方がすごいですよ。ケンカのケの字も知らなそうな方ですから」
「──その三代目ってのは、姫ちゃんのことかしらん?」
予想外だ。カウンターの下から隠れていたかのように、桜色縁のメガネをした女が薄い笑みを浮かべて出て来た。
今日の昼間にここへ来るように言った、knightメンバーの一人・一ノ宮朱里だった。
「お昼振りだね〜、銀龍さん」
「・・・・・」
「ちゃんと来れたんだねん。心配してだんだよ〜」
「やはりあなたでしたか。姫が何やら考え込んでいたのは」
「むー。悪いのはあたしじゃなくてNo.3でしょ」